少女と傭兵の使い魔

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「気にいった、お前を我が主と認めよう、契約をはじめる」 そう言って狼はリィナに頭をたれた。 「どうすれば良い?」 「我の頭に手を翳し、我に名を与えよ」 「名前を付ければいいの?」 「ああ」 しばらく考えこんだ後微笑みながら答えた。 「じゃあ・・・シリウス・・・あなたは今日からシリウス・・・どうかな?」 その瞬間彼女と狼の間に光が奔る。 光が収まった後狼の額に青い模様が浮かびあがった。 契約の証の紋章。 「我が力は主の為、我が命は主と共に、これからよろしく頼む、我が主よ」 そう言って体をリィナに擦りつけている様は甘えている子犬の様だった。 「うん!これからよろしくね!」 リィナもシリウスの頭を笑顔で撫でている。 早くも仲が良いようだ。 リィナが私の所に戻ってきてしばらく雑談しているといよいよ私の名前が呼ばれた。 「次は、アリア・ヴェールハイド」 名前を呼ばれた時は少しドキッとしたが、意外な事に私の頭は冷静だった。 「がんばってねアリア、貴女ならきっと良い使い魔が現れるよ!」 そう言って私を励ましてくれたリィナに行ってくると手を振った後、私は召喚の魔法陣に向って歩き出した。 「では初めて下さい、落ち着いてね」 声を掛けてくれた先生に笑顔で応え、深呼吸した後私は詠唱を始めた。 「我、汝を強く望む者なり、 我、汝と共にある者なり、 古き盟約に法り、我ここに乞い願わん・・・・ 我の声が聞き届いているならばどうか答えてほしい・・・・・ サモンサーバント!!」 この時私は頭の中では違う事を自分の使い魔に聞いていた。 小さい頃に聞かされ続けた絵本の好きなセリフ・・・・・・・ 「私の声が聞こえるなら、どうか答えてください・・・貴方の名前は?」 たぶん私はこの出来事を一生忘れないだろう・・・・・ これが私の、最愛のパートナーとの出会いだった。
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