第1章 なんでも屋

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一つはギル。理由はこれ以上人んちを荒らすな、という意味で。 そしてもう一つの音源はネイチャーからだった。 ネイチャーは無言で腰のホルダーから双剣を取り出し、ゆっくりとビクトリーへ歩み寄る。 双剣は柄の部分から三日月状の刃が二枚連なっており、武器収集を趣味とするギルとしては美しい剣なのだが、今のネイチャーと組み合わせたらただひたすらに凶悪だ。 「あ、アッハッハー、ど、どうしたのかーい?ミスネイチャー?お腹が痛い――ひぃっ!?」 シャキン、とその双剣の切れ味を確かめるかのように机を真っ二つにする。 「何しちゃってんのぉぉッ!?」というギルの悲痛な叫びが聞こえるが、そんなことには全く耳を貸さない。 ビクトリーはこの時忘れていた。マフィンはネイチャーの大好物で、これに手を出すということは身の滅びを招くということを。 「ま、待つじゃなーい!!話し合えばきっとわかりあえる――」 「問答無用」 ぎゃあああああ、というビクトリーの悲鳴が響き渡るが、ギルもミルフィーもいつもの事なのか、終始無視していた。
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