第1章 なんでも屋

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「で、行くの?」 ミルフィーは至って普段通りを装おうとするが、行きたくないというオーラが見え隠れしている。 だが、だからといって行かなかったらコレットにボコられるだけなので、ギルは即頷いた。誰でも命は惜しい。 「ってわけで準備しろよー」 「……はーい」 がっくりとしているミルフィーだが、ギルもそれは同じでため息が漏れる。 「わ、悪かったじゃなー、ぎゃぁぁぁ!?」 「私のマフィンをよくも、よくも、よくもよくもよくもぉぉ!!」 ビクトリーの悲鳴とネイチャーの涙声が耳に入り、ギルから最後に盛大なため息が漏れる。 外も中も問題だらけ。どうやらそれがギルの宿命らしい。       ――― 『ノースタウン行き飛行船がまもなく出発します』 そのアナウンスの声が聞こえるとギルはみんなに走るように促した。 ここは四大都市の一つ、ウェーストタウンの飛行船乗り場で、人がかなり賑わっている。 それもそのはず。この世界の移動方法は主に飛行船であり、そういった大都市以外の小さな村にも軽飛行船が飛んでおり、非常に使い勝手が良い。
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