1302人が本棚に入れています
本棚に追加
/963ページ
今回は潜航していた時間が長く、既に時計の針が深夜2時を指していた。
甲板には無数の細かい傷が刻まれていたが、航海や戦闘に支障は無い。
「危うく沈められるところでしたね・・・」
深呼吸をして自分が生きている事を確かめると、そう副長はフリッツに言った。
「あと少し発見が遅れていたら、確実に沈められていただろうな・・・」
「今回は運が良かったみたいだ」
フリッツは副長に言った。
「爆雷の衝撃を初めて体験しましたが・・・」
「駆逐艦に対する考え方が変わりました」
「・・・これぐらいじゃ“本物”の駆逐艦に襲われた時の気持ちは分からない」
「駆逐艦が落とす爆雷は、もっと沢山だしな」
「副長も駆逐艦に乗っていたのだから、私が言っている事が分かるはずだ」
そうフリッツが副長に言うと、副長は微かに怯えた表情になって爆雷の恐怖を感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!