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「そう思ってるのは、あんただけっすわ」
だがその突然の第三者の声ではっとした。
「なんだよ、いま言ったのは誰だぁ?」
訝しげに視線を向ける永瀬だが、今は無視だ。
「……えらく遅かったじゃねーか。これから永瀬を潰そうと思ってたのに」
ゆっくりと振り返り、喉仏を擦りながら言い放つ。
「わりぃ、女とデートだったんよ」
その視線の先、室内に足を踏み入れるのは先程のリーダーの男だっだ。
「デートってのはウンコモラシとか? それにしては時間がかかったな」
「あんたの指示通り、吊し上げるので苦労したんだぜ。あんな手の込んだ指示をするから。俺はあそこのメンチカツ、好きなのによ」
「俺も好きだぜ。帰りに買っていくか?」
「……当分パスだわ」
そして二人、意味深に会話する。
「それよか、あんたこそなんだよ大友。あれだけ豪語してた割りには、ヤバい状況じゃんか?」
「これはあれだ。大体にして、俺ひとりでこいつら相手してたんだぜ」
「あはは、いつもなら、『俺は三十人は相手でも、勝てる』って言ってたじゃんよ。なあ須藤」
「ああ、言ってたわ。だから俺は手出ししなかったんじゃ」
「須藤てめー、あれはおめーが下手なアドバイスすっからじゃねーか。だから逆に追い込まれたんだぜ。本調子なら、五十人でも相手できる」
「飛んでもねー大ぼら吹きだな。流石は外道大友。だけどまるっきり嘘じゃ無いからヤバすぎる。今までこんな外道と争ってたんだから、我ながら恐ろしいぜ」
「ヒデー言い方だな。仲間なら、カッちゃんって呼べよ。なぁリーダー」
「……呼ばねーよ」
「相変わらず仲が悪いのう」
どうやら須藤を含めた三人は仲間のようだ。追い込まれて危険な状況だというのに、包み込むのはノホホンとした空気。
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