ルーキーズ結成

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「分かってくれたら幸いっすよ先輩。まだ俺らからしたら、ゲームセットって訳にはいかないんだから。ゲームは九回裏、一打逆転、って展開なんだから」  永瀬を睨みつけながら、羽織ったダウンと制服を脱ぎ捨てる吉沢。  所詮戦争なんか獲った獲られたの繰り返しだ。野球でいう点取り合戦のようなこと。どんなにボロボロだろうと、最後に立っていた者が勝者となる。 「あんたは学園正規軍の、正当なる後継者って言うけど、そんなのたまたまだ。年功序列でその地位にいるだけ。云わば神輿じゃないっすか」  まるで永瀬を煽るような口調だ。中指を天に突き立てて、くるりと回して地面を指し示す。その背中に背負った文字は『チーム魔王』。 「大体にしてあんたなんか最初から眼中にないんすよ。あんたが仕切ってるのは、オーク学園でも“最弱”の三年生。しかもその半数はまだ傘下に治めていない」 「ヴァ、なんだって。もいっぺん言ってみろ!?」  流石の永瀬もそれには怒りを覚える。くわえた煙草を噛みきって、拳を握り締めて吉沢を見下ろす。 「やだな先輩。怒っちゃいましたか本当のことを言われて」 「このクソルーキーが!なにが本当のことだ。その台詞、ほざいたことを病院のベットで後悔しろ!」  最初に動いたのは永瀬。大きく拳を振りかぶり、吉沢の頬にぶちこむ。ウエイトと怒りを籠めた必殺の一撃だ。吉沢の顔面が大きくひしゃげる、流石に立っているのも不可能だろう。
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