ルーキーズ結成

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「……流石は永瀬先輩っすね。仮にも正規軍後継者を気取る訳だ」  しかし吉沢はたじろがない。口元に笑みを浮かべて、永瀬に睨みつける。 「俺の渾身の一撃だぞ。……なんで倒れねー……」  愕然となる永瀬。 「はぐっ!」  その顔面に吉沢のエルボーが叩き込まれた。 「てめー、ルーキーの分際でよくもやってくれたな!」 「ルーキー、ルーキーって五月蝿いんすよ!」  こうして吉沢と永瀬の殴り合いが開始される。バキッ、ドカッ、と響く激しい凶音。衝撃に煽られて、汗と血が舞い上がる。  誰もが眼を掻き開き、その展開を凝視する。食うか食われるか、獲るか獲られるか、防御など一切無視の激しい命の殺ぎ合いだ。  もちろんそんな激しい攻防が、いつまでも続く筈はない。 「……な、何故だ。……俺の野望はまたしてもここで(つい)えるのか。……こんな中坊上がりに負けるなんて……」  堪らず後ずさったのは永瀬。顔といわず身体中ボコボコだ。意識が朦朧として、立っているのもやっとの状態。 「中坊けっこうじゃねーか、あんただって元々は中坊だったんだ。しかも、あんたの野望は俺ら一年生を襲撃した地点で潰えてたんすよ!」  しかし吉沢はそれを許しはしない。その肩を握り締めて倒れるのを阻止する。もちろんこちらも負けず劣らずボコボコ状態だ。だがそのみなぎる気力だけは健在だった。永瀬を一気に引き寄せて、その腹部に拳をぶちこむ。 「ぐおーっ!」  腹を押さえて、身体をくの字に曲げる永瀬。 「あんたは俺ら、"ルーキーズ"に飲み込まれるんだよ!」  その頬を吉沢の強烈な一撃が貫いた。  大きく宙を舞う永瀬。椅子やテーブルをなぎ倒して、床に吹き飛ばされる。もはやピクリとも動かない。完全に気絶していた。  それを覚めたように見下ろす吉沢。 「悪く思わないで下さいよ先輩」  この瞬間、一年生の勝利が確定したのだ。
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