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「ゴメンよ、つい……」
「だからお前は。……聖人も気にするなって」
「……気にもなるだろうよ。あいつのせいでナギサは……」
戸惑う仲間達だが、真田は教室の一番手前を睨み付けるだけ。鬼気迫る視線だ、未練たらしいような恨みの籠る視線。
「……とにかく気にするな。どの道奴らは二年生を襲うなんざしねーさ」
「ああ、鬼の学年だからな」
それを察してか話題を変える仲間達。
「それより訊いたか聖人。伊勢佐木町っていえば、メタルギアの高崎さん、また暴れたらしいぜ」
「高崎さんが? あの人、ベースの腕は最高だけど、はぐれっぷりが凄いから」
「喧嘩上等、メタルギア、だぜ聖人。お前あいつらの曲、好きだろ?」
「最高だよなあの曲。……えっと、『彼女ドロボウ』……」
「馬鹿だろお前?」
翌日のオーク学園は、どのクラスもそんな話題で盛り上がっていた。永瀬一派が、四人の一年生に襲撃されて病院送りにされた。現地点でその四人の素性は不明。一年生に破れたという不名誉からか、永瀬達が口を閉ざしたからだ。
それでも生徒達の思いは冷めたものだった。普通の学校ならば、永瀬の強さは群を抜いていただろう。てっぺんとして君臨して、他の生徒の脅威となっていた筈だ。
だがそこはオーク学園。それぐらいの実力でてっぺんを狙える程あまくはない。幾多の中学を仕切っていた荒くれが集うところ、それがオーク学園だから。
そして荒くれ者が集まるきっかけとなったのは、実はシュウのせいだ。修羅な運命と中坊時代の悪名が、この学園に荒くれ者を惹き付けたのだ。だから特に危険なのが、彼らと同じ学年の二年生だった。
それでも入学早々で永瀬を叩き潰すという強さ。誰もが今年の一年生の秘めたる実力を改めて実感していた__
それは捨て置き、真田はまだムカついた表情だ。
「ナギサ、まさかそんな格好まで……」
その視線が捉えるのは、一番前の席に座るルカ。停学明けなど、なに食わぬ顔でふんぞり返っている。そしてその周りを幾多の女共が取り囲んでいた。あろうことか、その中には真田の元カノ、ナギサの姿もある。清楚だった昔と違って短いスカート姿だ……
噂によると、遂に“ルカ様ファン倶楽部”が出来上がったらしい。更に恐ろしいのが、倶楽部の会長が学園教師である杉田綾という事実。呆れた展開だと誰もが感じていたのだ__
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