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その時、カランカラーンという呼び鈴の音と共に客が入店してきた。それは男女二人連れ。男の方は席を探そうと、店内をキョロキョロ見回してる。
「あ? シュウさんじゃないッスか」
そしてシュウの存在を認めて声を掛けた。
「ヴァ……誰だ俺様を勝手に呼ぶ奴は?」
それに呼応して訝しげに視線を向けるシュウ。
入店してきたのは茶髪の若い男だった。着込むのは真新しいブレザー。シュウ達が着ている学ランとは違うが、れっきとしたオーク学園の制服だ。
オーク学園は今年から男子生徒の制服がブレザーに変わった。その理由は『やっぱり高校生は、ブレザーだよね~』との理事長の、鶴の一声から。ブレザーの方が今時だし、学園の知名度もぐんとアップする、そんな思惑があるのは間違いない。
「おっ、“蒼汰”じゃんか」
シュウが呟いた。その男はシュウの知り合いだった。
吉沢蒼汰。シュウのひとつ年下で、同じ“帝王中学”出身の後輩だ。当時は幾度となく連んで悪さしていた仲だ。
そしてその真後ろには、女が隠れるように立ち尽くしていた。着ている制服から、こっちもオークの生徒だ。
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