導かれし少年たち

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「どうして名前を訊くんです?」 「そりゃーおめー、ルーキーの実力を知る為さ。それなりに強い奴はあそこで闘わせて、合格点がついたら俺らの仲間にしてやるのさ」  それで理解した。男の手にはなにやらプリントのようなものが握られている。おそらくは名簿、一年生の名前が記されている。だからこうして名簿の人物を捜しているんだ。  そして名の通った一年生同士を闘わせて、その実力を見極めようとしている。そうすることで、自らの威厳も示せる。そういうことだ。 「早く言えよ、今年は小粒揃いだが、中には特Aレベルもいるからよ」  すかさずその手から名簿を奪った。愕然となる男だが、気にすることなく名簿に目を通す。今年の特Aレベルは四人、一番上に名を連ねているのは__ 「てめーなんてことしてんだ!」  しかしそんな少年の行為を男が黙って許す筈もない。ムカつき加減に少年の襟首を締め上げる。 「この名簿は極秘資料なんだよ、てめーみてーな小僧が、易々と見れる代物じゃねー!」  確かに大切な名簿らしい。極秘との印が記されていて、端には通し番号がふってある。これを含めて三枚、同じものが存在する。  チッと舌打ちする男。 「どうやら仕置きが必要か。ここじゃギャラリーが多すぎる。こっちにきな、この学園の恐ろしさ、その身に叩き込んでやるからよ」  言って少年の背中を押し払った。  その反動で彼女と繋いだ手が引き剥がされる。有無も言わさず、薄暗い穴ぐらに引きずり込まれた__
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