若さゆえの暴走

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 カラーンコローン。  下校を知らせるチャイムが鳴り響く。夕陽で赤く染まる、放課後の校舎。グラウンドは部活動に(いそ)しむ生徒達や、下校する生徒達でそこそこの活気に溢れていた。まさに青春そのものがそこにはあった。  しかし物事には常に表裏一対の事象が存在するのも然り。輝く希望があれば、飲み込まれそうな絶望があるように。それを如実に表すように、校舎裏を支配するのは暗い影。  その左右の角では一年生らしきブレザーを着た数人の生徒が立ち構えている。おそらくは見張りでもしてるのだろう。神妙な面持ちで、注意深くキョロキョロと辺りを警戒していた。  校舎裏の中央部には、五人の生徒の姿があった。そこにあるのは学園の闇、狂気そのものだ。  辺りにはバキッ、ドカッという鈍い衝撃音が響いている。 「おう、それぐらいで勘弁してくれよ。まさか殺す気か?」  学ランに身を包む男が堪らなそうに投げ掛ける。  異様なのはその有り様だ。着ている学ランは、血と埃でボロボロ。顔面といわず身体中傷だらけで、喋るだけでも辛そうだ。 「黙ってろって」  それを短髪の一年生が無情にも押し払った。その名は大友勝治(おおとも かつじ)、通称カッちゃん。ルーキーズ・No.1の凶暴さを誇る男だ。  その二人の目の前では、別の男達が格闘を繰り広げていた。格闘と言っても、壁際で身をすくめる男を、もうひとりが一方的に殴る蹴るしているだけだ。  殴っている男は、同じくルーキーズのひとり“相楽拓也(さがら たくや)”。永瀬襲撃事件の時、雑踏で佇んでいた刈り上げの男だ。 「グッ、ガァ……」  殴られている男は、遠退きそうな意識を必死に保ち、グッと堪えている。  懇願している男は、上杉(うえすぎ)。殴られている男は、武田(たけだ)。どちらも武闘派で知られる三年生だった。
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