若さゆえの暴走

30/30
5116人が本棚に入れています
本棚に追加
/1495ページ
「……い? おい"ジョー"さん、しっかりしてくれ!」 「……くっ……お、れは……」  数時間後、もうろうとする加藤の意識が回復した。  その視線が捉えるのは、数人の男達の姿だ。金髪の華奢な少年がその身体を押さえていた。  朧気(おぼろげ)な意識と視界だが、その声には記憶があった。 「どうしたのさ? 無敵を誇るジョーさんがこんな血みどろで」 「わるい。……ちっとばかり油断した」  自分の置かれた状況も鑑みず、淡々と返す加藤。痛みよりもプライドの方が勝っていた。 「油断って……ジョーさんをここまで追い詰めるなんて、普通じゃないじゃんよ?」  そしてその悔しさは、金髪の中にも染み入る。 「……相手は誰だったのさ?」 「……あ……相手は、ウチの一年生、十数人。……首謀者は……大友……勝治……」  そして加藤の意識は再び混濁した。 「そうっすか……」  静かにその身を横たわらす金髪。 「救急車だ! 早く呼べ!」  即座に通達する。それでもその胸の内に去来するのは、怒りと悲しみ、複雑な心境だった。  大友勝治が倒した男。それはオーク学園三年生 加藤丈一郎(かとう じょういちろう)。ロード系チーム・騎帝鳳駆(キティホーク) 総長補佐。  そしてキティホークは、大友の信頼する“夏樹”のチームだった__
/1495ページ

最初のコメントを投稿しよう!