導かれし少年たち

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「嘘だろこの連中、なんとかしつけてたのに……」  愕然とその様子を眺める永瀬。 「あの牛みたいな小僧の仕業だぜ。どうすんだよこの騒ぎ」  額に手をあててうんざりそうに吐き捨てる相沢。  彼らとすれば四角いリングの中で全ての騒ぎを収める筈だった。それが教師達との契約だったから。案の定、遠くの方では教師達が『話が違うじゃないか』といった表情を見せている。 「……まぁ、いいだろう。あと数分で入学式も始まる。それまではルーキーの好きにさせるさ」  腕を組んで支配者張りに言い放つ永瀬。それでもかすかに青ざめ、膝頭が震えている。 「しかし、とんでもない流れ者が入学したもんだな」  相沢が言った。その視線が捉えるのは、猫屋弟と対等に闘いを繰り広げる小太りの姿。その姿に先程までの冷静な様子は微塵も感じ取れない。喧嘩にいっては激しい気性を(あらわ)にしてる。相手の攻撃を浴び、それでも突進する様はまるで猛牛(バイソン)と呼ぶに相応しい。 「直前までは関西にいたんだよな?」 「らしいな。全国津々浦々を転々としているようだ。格付けはBレベル、渾名は赤べこ……」 「しかしそう考えると、的確な名簿だよな。あんな余所者、どうやってBレベルって格付けたんだ?しかも渾名まで……」 「俺だって知らねーよ。本名が記載されてないのが、マヌケだがな」  硬派を気取る彼らは、市内の勢力図、及び有名な不良の名前は頭の中に叩き込んでいる。誰々は危険だとか、どこの学校を占めているとか、どこの事務所にスカウトをうけているとか、そういった情報。それ故名簿に羅列してある名前にはほとんど聞き覚えがあった。  だが例の小太りはこの辺の出身ではない。故に見覚えも聞き覚えもなく、その素性は一切不明。しかし名簿にはBレベルと記載されている。改めてその名簿格付けの正確さに感服していた__
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