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「しかしシュウは乱暴だな。これは高価な品物なんだよ、取り扱いには注意してくれなきゃ」
アムロは右手でサーベルをかざして、てきぱきと点検している。彼の特筆すべき点は、趣味の為だけに投資する金額が半端ではないことだ。その着込む連邦軍制服は、アルマーニのオーダーメイド。手にするビームサーベルも自社で開発した特注品。一族あげてガンダ○に命を賭けている。
しかしそのアムロの態度と金持ちぶりにが、シュウの怒りを引き出した。
「ふざけんな、俺様の取り扱いにも注意しろ!」
アッサリとアムロの胸ぐらを奪い、平手を打ち込んだ。その拍子に再びビームサーベルが転げ落ちる。
「ギャー、シュウに殴られた!!」
アムロが泣き叫ぶ。
「なんだこの野郎、有名な台詞はいわねーのか?」
今度はシュウ、逆の頬に平手を入れる。
「ギャーーー!! 今度は反対側!!!」
こうして響き渡る悲痛なる叫び。実際この男、形だけは立派だが本物の連邦軍ではない。そのうえモビルスーツを持っている訳でもない。つまりはただのマニア。本気のシュウに敵う筈もない。床に転がるビームサーベルだけが哀れな状態だ。カチカチと点滅を繰り返してピクリとも動かなくなった。
「電車が参りまーす!」
「ふんぎゃーー!?」
突然シュウの身体が、別の誰かによって押し倒された。
「だ……誰だ、俺様を押し倒したのは」
ワナワナと震え、眼前を睨む。
「電車が通過する際には、白線の外に並んでお待ちください」
そこに立ち尽くしているのは車掌らしき制服に身を包んだ生徒。口に笛をくわえて、電車車両の絵が描かれたダンボールを、肩ひもで吊って腰に纏っていた。察するに電車マニア。アムロを助けようと駆け付けたらしい。
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