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「アムロ殿、逃げるであります。乗車されたし!」
「グッドタイミングだよ、電車!」
「…………」
こうして二人、縦一列に並んで逃走を図る。
「おのれ、こわっぱがぁ!!」
怒りと共に立ち上がるシュウだがとき既に遅し、二人の姿は廊下の奥に消えていた。
「毎度毎度、同じことを繰り返しやがって。俺様の貴重な時間を返せってんだ」
空しくも疲れた身体を引き摺り、その場から歩き出そうとする。
「……なんだ?」
しかし何故か違和感を感じて、横に視線を向けた。
「…………」
そこは倉庫に通じる廊下から離れた一角。暗闇だけが支配するそこに気配を感じる。
意識を集中させて眼を凝らせば、微かに浮かび上がる。……ハットリ君のお面だ……
「てめー服部じゃねーか! いつからいたんだ、俺様の命を取りにきたか!」
「…………」
それはお面をつけた小柄な生徒だった。地味で目立たぬ存在だが、それがある意味危険な人物。アムロと同じマリアファン倶楽部の住人だ。
「そこを動くなよ、ボスキャラ! 俺様直々に成敗したる!」
「…………」
グッと身体に気合いを籠めるシュウ、意気揚々と叫んだ。
「…………」
だが服部は反応しない。そのまま闇の中に消えていった。
「なんか喋れ! 逃げるなんて卑怯だぞ!」
ムカつき声を荒げるシュウだが、その怒りは空しくも闇に掻き消された__
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