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翌日の放課後__
穏やかな空気が包み込んでいた。多くの生徒で活気溢れる校舎中庭を、シュウが歩いている。
その後方から、夏樹がひとり歩いてくる。
「よお、シュウ」
そしてシュウの姿に気付き呼び止めた。
「はぁ?」
足を止めるシュウ。振り返り夏樹を待つ。
「色々大変だったな」
夏樹がその肩を叩いた。
「バーカ、てめぇ程じゃねーよ」
こうして二人、肩を並べて歩き出す。
「……珍しいな、お前がガッコー来てるなんて」
「まぁね」
「どうせ、出席日数足んなくなりそうなんだろ?」
冷ややかな視線を向けるシュウ。
「あはは。やだからね、留年してお前らの後輩になるのは」
飄々と笑う夏樹。言葉とは裏腹に留年など気にもならないようだ。
「へっ。一弥共々留年すりゃいいのによ」
「おいおいシュウ、あんな切れモンと一緒にするなよね」
堪らず返す夏樹。
「どっちもどっちだろ?」
「まぁ、そんなこと別に構わないけどね」
「……まったく軽いな」
サバサバと話し込む二人。そしてどちらともなく無口になる。
「……どうだったのさ、シュウ。後輩を潰した感想は?」
口を開いたのは夏樹の方。少しばかり憂いの籠る、神妙な口調だ。
「別にいちいち気にはしねーよ。そんなんじゃ身体が持たねーからな」
それをシュウは、あっさりと一蹴する。
一方の夏樹も特には深く追求することはなかった。互いに内なる感情は同じだと感じていたのだ。
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