肆の編 衣替えの季節に

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「が……はっ」  ズルズルと崩れ落ちる永瀬。多くの生徒が見つめる最中、周りには北条達が血まみれで寝転がっていた。 「一年のヒョッコ共に負けてながら、デカい面してんじゃねーよ」  そしてその様子を、先程の巨漢が冷めたように見下ろしている。 「くそっ、ハラキリなんかしてなきゃ……」  必死に立ち上がろうとする永瀬。 「あんたはただの御輿だったのさ。それを勘違いしたのが運の尽きだ」  だがその顔面を巨漢の足の裏が襲った。瞬時に意識が吹き飛び口から泡を吹いた。 「戦場に於いて二度目はねーだろ。先輩だと思って見逃しておいたが、所詮あんたには学園を仕切る器量はなかったのさ。これは俺なりのせめてもの情けだ、このまま引退しな」  巨漢が静かに通達した。 「騒がしいって思ってたら、ヤッパここっすか葛城(かつらぎ)先輩」 「逃げろって(まこと)。ジャイアンが騒ぎを聞きつけたぞ」  人混みを掻き分け、仲間と覚しき生徒が駆け寄ってくる。 「あららぁ。永瀬達、お寝んねさせちまったのかよ?」 「しゃーないっす。葛城先輩にかかれば、こんなモンっす」  そして当然の如くあっさり吐き捨てた。 「そうさな、逃げるとするか。明日の予定もあるしな」  ヘラヘラと笑う巨漢。その名は“葛城誠(かつらぎ まこと)”。オーク学園二年生。古から続く任侠団体“葛城組”の組長実子だ。  キングダムオーク学園の“四天王”が動き出したのだ……
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