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それから数日が過ぎた__
「合計金額、1023円になります」
「ビニール傘って幾らよ?」
「500円です」
「じゃあそれ。天気予報じゃ、また雨だってからな。まいるよな、この長梅雨には」
「そうですね夜中には降り出すらしいから」
この日もシュウは、コンビニでバイトをしていた。
店内は多くの客で賑わいを見せている。シュウとモーリーがその対応に追われていた。
「最近、忙しくなってきたな」
レジを打つモーリーが話し掛ける。
「まったくっすよ。……休む暇もない」
シュウも客相手にレジを打ちながら同意した。
「ま、稼げば稼ぐだけ“ミミちゃん”との憩いのひと時が満喫出来るけどよ」
不意にほくそ笑むモーリー。
「まだ、金を貢いでんすか」
シュウが呆れて吐き捨てた。ミミちゃんとはモーリーがぞっこんのメイド喫茶の女の名だ。
「俺はこの前、ミミちゃんの手を初めて握ったんだ。見てろよ、いつか必ず落として見せる」
輝かしい笑顔を見せるモーリー。それを冷ややかな視線で見つめるシュウ。悲しいことだが、ミミからすればモーリーはただの客だ。騙すつもりはないだろうが、いわゆる金づる。
「……それより見て見ろよ。“あの娘”また来てるぜ」
そんなシュウの思いも知らず、モーリーが雑誌コーナーに視線を向ける。
呼応してシュウも無言で視線を向けた。
「可愛い娘だよな。これで三日目だぜ? なにをする訳でもなく居続けて。あの娘、多分俺に話し掛けたいんだよ。ミミちゃんがいなけりゃ、やっちまうのにな」
自信満々に言い放つモーリーだが、その根拠はどこにもない。
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