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「チッ」
舌打ちと共に後方に飛び退く櫻井。
「やはりボディは効かないか……」
恨めしそうに眼前を睨む。
「当たり前だろ。そんな軽いパンチ、屁とも思わん」
その眼前には葛城が立ち尽くしている。口に火の点いていない煙草をくわえて威風堂々たる態度だ。
それでもそのわき腹には、確かな痛みを感じていた。対するは櫻井敦司。仮にも十二神将の名を戴く男、その能力は折り紙つきだ。
「屁か、これでも特別な一撃だったんだがな」
さばさばと手首を揺らす櫻井。
「だが一点を突けば、お前とて崩せる!」
長い髪を振り乱し、再び飛び込む。
「崩せるもんなら、崩してみろや!」
拳を突き出してそれを待ち構える葛城。
櫻井のしなやかな身体が低い態勢で切り込んでくる。葛城の懐に飛び込み、右のフックを放った。
「崩せねーから、四天王。……格の違いだ!」
しかし葛城は左足を引き出しそれをガードする。返す刀で櫻井の頬を目掛けて肘打ちを放った。
「くっ!」
瞬時に身を引く櫻井。右腕をかざしてそれをガードする。
「狂犬! てめーの相手は俺だぁー!」
刹那、葛城の後方から声が響いた。
振り返るそのわき腹を、何者かの飛び蹴りが襲った。堪らずバックステップでその場を回避する。
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