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「ナイス、シュウ」
茶髪が言った。バイクを低く踊らせて、残骸と化した車体の間をすり抜けていく。
「グギャ」
再度響く黒髪の悲鳴。その額に、飛散したなにかがぶつかったようだ。仰け反った頭をゆっくり戻す。
それから察するに、ぶつかった物体は大したものではないようだ。くるくると弧を描いてこちらに飛んでくる。アウディのフロントガラスを叩き壊し、助手席シートに突き刺さる。
それにはゾッとした。先の尖った金属片だ。普通ならこんなものが当たったら、大怪我は必至だ。
一方の工藤は茫然とした様子。
「流石は元ナイトオペラリーダー。及び魔王シュウ」
それでもその口元に浮かぶのは笑み。
「それ以上てめーらの好きにはさせんぞ!」
白バイを疾駆させて黄砂煙る街並みに消えていった。
戸惑いつつその様子を眺める運転手。"ナイトオペラ"という名には聞き覚えがあった。この近辺を統べる武装チームだ。内部のリーダー争いで熾烈な抗争を繰り広げているらしい。
一方の"魔王"という名称にも聞き覚えがある。確か悪のカリスマ、街一番の悪党だと聞いている。とはいえ昔の話だ。いま現在は死んだとされているから__
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