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「止めろルカ。その辺にしとけよ!」
堪らずそれを阻止するシュウ。
「何故邪魔をするのだシュウ?」
それをルカの眼光が貫いた。
こうして二人、再び視線を交えて相対する。その間に仲間達が駆け寄り、気絶した真田を回収した。
「いくらなんでも、そこまでする必要はねーだろうが」
シュウは真田を助けるつもりなど毛頭ない。だが流石にやり過ぎだ。このままでは、自分に飛び火する恐れがある。
「これは躾なんだ。学園の支配者としての躾。言った筈ではないか? この学園は俺様が力ずくで支配すると」
ルカの視線はシュウにはない。倒れ込む真田と、その取り巻きに注がれている。
真田はかすかに意識を取り戻したようだ。床に寝かされたまま、『大丈夫だ』とばかりに首を左右に振っている。その隣には彼女が寄り添って手を握っていた。なんとも健気な様子だ、それが真田の無念を少しだけ和らげていた。
「フッ、雑魚の分際で不釣り合いな彼女ではないか」
しかしその突然のルカの台詞がその場の人々の度肝を抜いた。カーテンが風で捲れ上がり、その後方でひらひらと舞う。
「そのような雑魚、捨て置けばいい」
大胆にも女の腕を引き上げる。女はいきなりの事態に声もない、茫然自失でされるがままだ。
「……俺の……女だぞ……」
真田の悲痛なる声が響き渡る。しかしダメージの蓄積した身体では身動きひとつ出来はしない。誰もが成す術なく、それを見つめるだけだ。
「おめーな、どんだけ女に餓えてんだよ」
しかしシュウだけは別だ、呆れたように言い放つ。
「生憎だが俺様は女には餓えておらん。しかしこの男は俺様に破れ去った、そのような弱者に女など不要だ。だからこいつは俺様の女だ、それがこの女の為だから」
「なにが俺様の女だ。ずっと気取ってろっての」
ルカの台詞は紳士を気取ったようなキザったらしい言い種だ。しかしシュウからすれば野蛮な山賊にさえ思える、大層な言い回しなだけに逆に滑稽。
それでもルカの行為を止めたりはしない。確かにそれがこの女の為だから……
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