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「……な、なんて野郎だ。ヤンキーに続いて、倶楽部にまで宣戦布告かよ……」
悔しげに項垂れるシュウ。ルカの放った台詞にはそれだけの意味が含まれていた。何故ならこの学園に於いて、マリアに告白するのは自殺行為も同じだからだ。
「ぎゃーっ! マリア様!」
「ぎゃーーっ! マリア様の御身がぁ!」
「ぎゃーーーっ! 誰か俺に銀の弾丸を!」
「ぎゃーーーーっ! 鳴神統、殺すリストに追加だ!」
辺りには倶楽部の住人の怨み妬み嫉み、全ての含まれた怒号が響いている。カエルの合唱でも、こうも見事なコーラスは奏でないだろう。そうこの住人共は影でマリアを崇拝している。マリアへの告白はこいつらが許さない。言葉だけで呪い殺しそうな狂気がそこにはある。
一方のシュウも、燃えたぎるような衝動が心の奥底から突き上げていた。それがなんなのか、シュウ自身でも理解は出来ない。だから言葉にするのは不可能。云わば『このままじゃヤバい』そんな野性的な勘だ。
「……ルカ、それは……」
堪らず言葉が漏れた。
「オイラが勝ったら、マリア様は、オイラにくれるのかい?」
だがそれを遮って誰かが言い放った。
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