参の編 夢幻の如くなり

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 宅ちゃんの参戦は、その日の内に多くの者が知るところとなる。そして学園を恐怖のどん底に突き落とした__  元々ファン倶楽部の住人は、宅ちゃんの命令で勝手に動くことを禁止されていた。だがそのトップが動き出したことでその(たが)が外れる。本能の赴くままに、ヤンキー顔負けの戦力を駆使して戦線に参入してきた。それらに真っ先にターゲットされたのは黒瀬修司、及び鳴神統。しかしそこは潜り抜けてきた場数が違う。あっさりと返り討ちに遇わせていた。  更にはそれに感化されて一年生同士の抗争も激しさを増していった。たった一晩で、誰々が勝利したとか、どこどこの派閥が壊滅されたとか、そんなきな臭い情報が飛び交うこととなる。  もちろんそれらは想像の域にあった。時代とはいつ何時でも動き続けるもの。人が生きている限りそれは当然のこと。動かない水が腐ってしまうのと同じ理屈だ。所詮この世は弱肉強食、弱きが淘汰されるのは当たり前だから。  一抹の不安があるとすれば、それが活発化することだ。名を馳せる猛者が動き出して、それが幾つも紡ぎあい無秩序に入り乱れると、更なる最悪を招く恐れはある。  そしてその不安は現実に的中することとなる__
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