Ⅰ.車輪の唄

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※ 始まる前はあれだけ緊張していた高校生活も、一年目が平穏無事に終了した。 よくよくこの一年間を振り返ると、自分は部活動と遊ぶことしかやっていない事に思い至ったが、まあ楽しかったから良いかと自己完結する。 晴天に恵まれ、つつがなく済まされた終業式。 三年間クラス替えが無いため来年度も共に高校生活を謳歌する友人達へのしばしの別れの挨拶。 それら全てが終わり、今は帰路に就いている途中だ。 ……言っておくが、俺は家まで一人で帰るような寂しい奴じゃないぞ? ……いや、別に好き好んで一人になる奴を侮辱している訳じゃないが。 閑話休題、取りあえず今この場にいる奴等をを軽く紹介しておこうか。 「…………なあ、望。さっきから何ブツブツ言ってんだ?すげえ不気味なんだけど」 今話しかけてきた奴は夏生。 名字は都合により省略、高校からの付き合いだが部活が同じだという共通点もあり高校での初友人となった。 悩みの種は初対面の人に正しい名前の呼び方をしてもらえない事らしい。知るか。 まあ、確かに俺も最初は間違えた。“なつお”ではなく“なつき”らしい。 紛らわしい名前だ。
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