Ⅰ.車輪の唄

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「チッチッチ。望は考え事が長くなると口に出しちゃうっていう悪癖があるんだよ。知らなかったのかい?夏生君」 人差し指を左右に振り、何かの事件でおっさん刑事が自信満々に話す推理の矛盾点を突く名探偵のような口調で話すツインテールの女。 こいつの名前は梓。 何の因果かこいつと俺は、幼稚園から始まって小学校、中学校、高校と一緒で尚且つ家も近いという堅すぎる腐れ縁で繋がっている関係なのだ。……まあ、だから何だと言われたら、特筆すべき事項は特にないがな。 ちなみに、もう言うまでもないと思うが、望ってのが俺の名前。 「何だってぃ?それは気付かなかった。望の新しい一面発見だな」 梓の言葉に、ニシシという効果音が付きそうな笑顔を浮かべた夏生が何か苛ついたから取りあえず額を手刀で打つ。 ……安心しろ、七割の力だ。 「七割って普通に強いよね!?冗談抜きで痛いんだけど!」 「何だよ……。勝手に人の心読んでんじゃねえよ」 「いやいやいやいや!今、君の口から出てたんですよ?」 ……しまった!また口に出してたか。 癖って怖いよね、何が怖いって自分だけじゃその存在に気付かない事だと思うんだ。
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