Ⅰ.車輪の唄

7/13
前へ
/13ページ
次へ
春休み突入四日目。 終業式の日の夏生の発言、それに梓の様子に何かモヤモヤとした嫌な感覚が俺の中で延々と渦巻いていた。 まあ、いくら考えても答えに辿り着く事が出来ない問題に思考を捕らわれて、せっかくの春休みを棒に振るのも阿呆らしいなと思った俺は、この三日間部活動で清々しい汗を流し、同じクラスの男衆や、別の高校へと進み少しばかり疎遠になってしまった中学時代の友人達と遊び惚けたりなど青春っちゃあ青春らしい日々を満喫していた。 そして迎えた本日午前九時三十七分。 今日は部活もオフなため、また誰か誘って遊ぼうと画策した俺であったが、運悪く皆が皆それぞれの部活やら用事などで捕まらなかった。 そのため俺は今机に向かい、学校側から生徒へと贈呈されたありがたくない代物、まあ宿題だが、を片付けていた。 こういうのは後に回せば回すほど重荷になってくるってのは去年の夏休みと冬休みでの経験で痛い程理解してるからな。 うん。成長したぞ俺。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加