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「今はこうして抱きしめているだけで、俺」
そう言いながら強く抱きしめた。別にやらしいことをしたいというわけではなく。ただ彼女のぬくもりを忘れないようにということで。それでいいんだと。もう後悔なんてしない。心残りなどないと 美甘を抱きしめている時に良太郎は思った。このぬくもりを決して忘れない。忘れたくない。美甘も同じ気持ちだった。そしてあっというまに卒業式を迎えた。美甘は卒業証書を片手に一人 運動場に出た。
「先生。私。卒業したよ?辛いこともたくさんあったけれど。先生が先生の
存在が私はとても嬉しかった。もう会えなくてもいい。あの時の先生のぬくもり。私、決して忘れないから、ずっと大好き」
思わず泣き出した。すると目の前に一輪のアネモネを持って立ちすくんでいる良太郎の姿が
「先生?」
「卒業おめでとう。すごく綺麗だ」
そして一輪のアネモネを手渡した
「アネモネ。花言葉は[あなたを愛しています]」
そして美甘を抱きしめた。
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