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「これ、どうぞ」
それは突然だった。
「受け取ってください、先輩」
お昼ご飯を買いに購買に向かっていると、後輩らしき男子にチョコレートを渡された。
――物欲しそうにしていたのかしら。
意味がわからず、首を傾げる。彼は私にチョコレートを渡すと、風のように走り去った。
「ビターチョコレート」
手のひらには、定番の板チョコが載っている。
――私、ビターは苦手なんだけど。
「……いったい、誰なんだ」
パキン、と板チョコを割り、ひと欠片食べた。
「にが」
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