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「ということがあったんだよ」
パンを買って教室に戻ると、友だちにたった今の出来事を話す。
「何それ、ラッキーじゃん」
あはは、他人事のように笑う友だち。
「いやー、私、ビターよりミルクのが好きだし、強いて言えば、ストロベリーがいい」
「何そのこだわり」
私はパンをばくっとかじる。
「で、その後輩はイケメンだったの?」
「あんまり覚えていないんだよね。チョコレートの印象が強くて」
――とっとと走って行ってしまったし。
「えー面白くない」
「面白くなくて結構」
ふたつ目のパンの包装を剥がし、口に放り込む。少しだけ食べたビターチョコレートは、鞄の中に閉まった。
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