第一章 望まれなかった英雄

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千駿「明日香、どうした?」 明日香「まったく、どうして私はこんなのが…」 千駿「えっ?」 明日香「なんでもありません。  行きましょう、兄さん。朝食の準備が出来てます」        ♪ 明日香「では兄さん、私はここで。 またお昼に兄さんの教室に行きますから、待ってて下さいね」 千駿「ん、りょーかい。それじゃあな」 そう言って、下駄箱の前で明日香と別れようとすると… ?「や、千駿君おはよう」 不意に、右腕を柔らかいものが包んだ。 明日香「……………」 明日香がとても形容しがたい、非常に恐ろしい顔で、こちらを睨む。 正確には、俺の右腕にしがみついている少女を。 千駿「おはよう、綾音」 ―天王寺綾音 このあたり一帯の大地主の娘で、幼なじみ。 ぱっと見は、いたって普通のこの少女は、ただ一カ所、人とは違う場所があった。 綾音「うん、今日も元気そうでなによりだ。  君に元気がないと、私も困る。そしておはよう、明日香君。朝からそんな顔をしてはいけないよ?せっかくの美人が台なしだ」
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