第一章 望まれなかった英雄

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鹿嶋「そして、この二つの組織の誕生をもって人鬼大戦は完全な終わりを迎える  鬼は、さまざまな制約を受けつつも人との共存を受け入れた訳だ」 と、ここで授業の終わりを知らせる鐘が鳴った。 鹿嶋「よし、じゃあ今日はここまでだ。ちゃんと復習しとくように。では…」  挨拶もそこそこに教室を出て行く鹿嶋先生の言葉を合図に、教室は喧騒に包まれた。        ♪  昼休み、俺達は明日香も交えて四人で、明日香の造って来た巨大な重箱を囲んでいた。 綾音「ふむ、ところで千駿、今日の昼食は何かな?」 千駿「明日香、今日の昼飯は?」 明日香「今日は、少し昨日の肉じゃがが余ってたので、それと唐揚げ、あとジャガ芋の残りで作ったポテトサラダです」  明日香が自慢げに言う所を見ると、今日はよほど自信があるらしい。まあ、確かに昨日の肉じゃがは旨かった。 綾音「ほう、それは奇遇だな明日香君。何を隠そう、私も同じく肉じゃがと唐揚げと、ポテトサラダだ。  尊史、君はどうだい?」 尊史「ははは、本当に奇遇だね。俺も同じ、肉じゃがと唐揚げとポテトサラダだ」 明日香「はぁ…。同じも何も、二人とも私が作った弁当でしょうが」 綾音「ははは、ちょっとしたジョークじゃないか。頼むからそんな冷たい目で見ないでくれないか、いやマジで割と凹むから」 食前の余興にと、軽い冗談を言う綾音と、それをかなり冷ややかな目で見る明日香。  あ、あれは本気で凹んでるな、綾音。  こうやって、仲間同士で集まって、飯喰って馬鹿やって…。そんな毎日がずっと続く。  俺はこの時、本気でそう思っていた。
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