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?「見つけたぞ、白面っ!!」
いつ現れたのか、白面から500米ほど離れた場所に、それはいた。
全身は黒
手には、歪で禍々しい赤の刀。
無骨で、しかしどこか美しいそれは、黒い鬼だった。
白面「遅かったじゃないか。
待ちくたびれたぞ?」
白面の声は、まるで待ち合わせに遅れた恋人を諌める様な、そんな声だ。
黒い鬼「ふざけているのか、白面」
白面「不戯蹴てなどいないさ。ああ、私は不戯蹴てなどいないとも」
芝居掛かった口調で、しかし、淡々と告げる。
白面「―だって、君はあまりに遅かったじゃないか」
言って、白面が消えた。
黒い鬼「!?」
白面「私は、君が来るのを待ち焦がれていたんだ。本当に本当に待ち焦がれていたんだぞ?
だと言うのに、君ときたら全く出て来てくれないじゃないか。
おかげで、私はまた一つ街を滅ぼすハメになった。
君があと少し早かったら、この街は滅びずに済んだと言うのに」
黒い鬼のすぐ後ろに現れた白面は、正拳突きの構えをとり
白面「どうしてくれるっ!!」
黒い鬼「――っ!!」
今度は黒い鬼が消えた。
白面「………」
その場に居るのは、拳を前に突き出したまま、呆然と立つ白面だけ。
白面「………しまった。力を込めすぎたか。
まあ、このくらいじゃあ死にはしないだろう。そうでなくては私の相手など、勤まりはしないさ。
また会おう、黒い鬼よ」
そうして白い魔王は、去った。
圧倒的な実力を、この大惨事のただ一人の生き残りに示して。
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