第一章 望まれなかった英雄

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記憶にあるのは、とにかく赤い空と、何もない大地。 そこを、ひたすら歩いていた。 聞こえてくるのは、死に行く人々の怨嗟の声。 ―どうして自分なんだ!! ―理不尽だ!! ―なんで死なないといけないんだ!! 代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!代われ!カワレ!カワレ!カワレ!カわレ!カワレ!カワレ!かワレ!カワれ!かワれ!カワレ!カワレ! ―生きてる者が居るならば、自分と代われ! 死者の声なき声が、俺に襲い掛かる。 何度も何度も、倒れてしまえ― 楽になれるぞ、と。 そうして、俺は倒れた。 別に、声に負けた訳じゃない。 純粋に体力の限界だっただけだ。 ―ああ、俺、ここで死ぬのか… それは、確信だった。 この地獄に、救いはない。あるのは、圧倒的な死だけ。 今、ここで目をつぶれば、確実に死ねるだろう。 だから、そうした。 もうこれ以上、こんな地獄を見たくなかったから…
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