星月夜に君を想うこと

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冬至を間近に控えて、日ごとに太陽の沈む時刻は早まり、その日もまだ4時だと言うのに、すでに日は暮れかかっていた。 木枯らしに土煙の舞う校庭を、陸上部やらサッカー部やらハンドボール部の子たちが、負けじと練習に励む姿を横目に、私は、掃いても掃いても無尽蔵に現われる落ち葉に、悪戦苦闘していた。 ふと、横を通り過ぎる、先輩とおぼしき二人組の声が耳に入る。 『あ!一番星!!』 思わずその方向を振り向けば、瑠璃と琥珀のグラデーションの空に、一粒のダイヤモンドのごとく燦然と輝く星があった。 『きれい……』 何か、不可思議な力で引きつけられるかのように、その星から目が離せずに、しばらく見入っていた。 その間、風はぴたりと止んでいた。 それどころか、ついさっきまでグラウンドに響いていた、運動部の生徒たちの掛け声さえ、耳に入ってこなくなっていた。 物音一つ聞こえない、ひたすら無音の世界の中心には、その一際強い光を放つ星があった。 時間に直せば、ほんの数分にすぎない出来事だったのだけれど、私にはまるで、永遠にも近い、とほうもなく長い時間のように思えたのだ。 もっと分かりやすく言うならそう、“時間が止まる”というのが一番近い表現だと思う。 まるで魔法にかけられたような数分間だった。
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