星月夜に君を想うこと

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『よし、じゃあ、賭けをしようじゃないか』 『か、賭け…?』 何を期待してたってわけじゃないけれど、拍子抜けして言葉がでない。 『俺があと10分でほどけたら、明日のランチは芹澤のおごり!!どう?』 『…じゃあ、もし負けたら何してくれるんですか?』 ごくりと唾を飲み込む。 『ん…それはまぁ、追々芹澤が考えといてよ』 …結局、先生が5分と経たずに髪をほどいてしまったので、その間必死で考えていた、“私側の条件”は、効力を発揮せずに終わってしまったのだが。 ただ、帰り際先生に、『もし俺が負けたら何させるつもりだったの?』と聞かれ、顔を真っ赤にして口ごもってしまったのだと聞けば、何を考えていたのか、大体のことは予想がつくと思う。 もうすっかり日が暮れて、暗闇が支配し始めた校舎を、先生と二人、鞄を取りに教室まで戻った。 一応は、一人でも大丈夫と断ったのだけれど、ふざけた先生に学校の怪談話を聞かされて、極度の怖がりだった私は、そうもいかなくなってしまったからである。 人気のない薄暗い廊下を、二人並んで歩く。 外にいた時は、会話もスムーズに弾んだのに、こうして静かな場所にいると、今さらながら意識してしまって、緊張で言葉が出てこない。
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