6人が本棚に入れています
本棚に追加
ふぅと息をつき、顔を上げれば、漆黒の夜空には、目が痛くなるほどたくさんの星が、所狭しとさざめいていた。
『…どうして私の名前を知ってたの?ねぇどうして、あの時泣いていたの…?』
あれから何度も尋ねてみたが、その度に上手くはぐらかされて、本当のところは結局、分からずじまい。
先生が死んでしまった以上、その答えが分かる日は、もう二度と来ないと言うのに。
溢れる涙で星が歪む。
そうやって目に映る世界は、まるで光の洪水だ。
『天国みたい…』
けだるげに一言、そうつぶやいて、倒れ込むように柵に寄り掛かった。
『私、もう、疲れちゃった。そっち、行っちゃだめ…?』
向こうにはパパもママも弟もいる。
みんなで一緒に暮らせたら、それより幸せなことはないではないか。
生きていたって、ただただ苦しむだけなのに、それでも耐えて生き抜くことが美徳なのだと、この星の人間は説くけれど。
ぬくぬくと、幸福という暖かな毛布にくるまっているような人間に、そんなことを言われたとして、果たしてそうでない人の心が動くのだろうか?
いくら美辞麗句を並びにたてられようが、大切なものを失った人間の、空虚な心の穴は埋められない。
そんな風にして、これから先の人生もずっと、苦しみ続けて生きていくのだと思うと、ぞっとした。
…それならいっそのこと、死んでしまう方が楽ではないか。
たった一瞬の痛みさえ、我慢すればいい。
最初のコメントを投稿しよう!