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―孝海Side 幼なじみがいる。 一つ年上。 綺麗だって有名で。 なのに人形みたいに表情は 動かない。 でもずっと一緒にいたから 分かるんだ。 微かな表情の違いも。 そして。 彼女が中学二年生の春。 初めて恋する表情を見た。 そして思ったんだ。 その表情を俺に向けて欲しい。 でも昔から身についた かわいこぶりっこ。 自分の無意識のうちに自然に 笑顔を作る。 人に好かれるようにする。 だからか。 ずっと俺は『可愛い弟』という ポジション。 「孝海?家…ついたよ。」 「あっほんとだ! 明日迎えに行くからねっ。」 にこり、と笑えば綾乃は呆れた ようにため息。 でもまだこのポジションで 許してあげる。 だって可愛い俺には綾乃は結局 甘いんだから。 .
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