8人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
しかし、幸せは長くは続かなかった。
夫は真面目な話が出来ない人で、真面目な話をしてもポーカーフェイスで冗談にならない冗談を言った。
その上『美味しんぼ』という漫画にハマっていて、食事にもうるさく、私を会社で金を稼ぎ、家事を無料でしてくれる女中扱いした。
待望の第一子が出来た時、流産をしかけ、病院に連れて行ってと頼んだのに、たった一言
『金が稼げなくなる』
と言った。
彼はパチンコに行こうとしていたのだ。
それから大喧嘩になった。市販の妊娠検査薬の陽性の結果を見せても認めず、妊娠なんかしていないと言い張った。
私は駅から遠い病院へ電車で行った。怖かったのに………。
結果は切迫流産で流産しかけているので安静に、ということだった。
会社を休むために貰った診断書を見せると、
『たかが流産くらいでみんなひとりで病院に行ってる』
と言った。
自分の子供が生きるか死ぬかという時に、たかが流産とは………。
最初のコメントを投稿しよう!