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ある冬の日。
るーべは初めていった公園でベンチに座り、サンドイッチを食べようとしていました。
「美味しそうだね」その声に振りかえると知らないネコさんがいました。「君も食べたいの?」「うん」
るーべとネコさんは一緒にサンドイッチを食べました。るーべは玉子サンド、ネコさんはシーチキンサンドを食べました。「おいしいね」「うん、おいしい」
ネコさんが毛繕いをしながら聞きました「あたしとるーべって似てるよね」「なんで?」「お互いにひとりぼっちだから」
るーべはネコさんを抱きたくなって、ネコさんの前脚の下に手を入れて持ち上げ、膝の上に乗せました。ネコさんの体は柔らかくて、とてもいい匂いがしました。
「あったかいね」「うん、あったかい」
しばらくしてるーべは立ち上がりました。「どうしたの?」「僕もう行かなきゃ」ネコさんは寂しそうに「ふぅん…」とだけ言いました。
ネコさんとるーべは逆の方向に歩きだしました。
るーべの体の奥にはネコさんの優しい感触だけが残っていました。
冬の空は、空気まで透き通って輝いていました。
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