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ベンチに腰を下ろしてから
かなりの時間が経っている様だ。
隣にはもう
君はいない。
どうやら僕は
君の夢を見ていたみたい。
君がいないから
何も気にせずに
思い切り煙を吐く。
涙が止まらなくても
ひたすらに煙を吐く。
ここに残ったのは
苦い珈琲の缶
その中の煙草
微かに漂う甘いバニラ
古ぼけたベンチと
そこで君を待つ僕。
『…もう,三年経ったんだね.』
ベンチに落書きした
『ずっと一緒にいたいね』の文字は
かなりかすれていて,
僕はそれを
優しく指でなぞり
苦い珈琲の缶に
四本目の煙草を捨てて
重い腰を上げる。
流れる涙は気にしないで
僕は歩く。
君がいなくても
僕は歩く。
携帯を開くと
さっき送ったメールが
行き先を見つけられないまま
帰って来ていた。
Mail System Error - Returned Mail
次のあて先へのメッセージはエラーのため送信できませんでした。
送信先メールアドレスが見つからないか、
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メールアドレスをご確認の上、再送信してください。
~おわり。~
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