―序章―

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私はこの時程、五体満足なことを恨んだ日はない。   目が見えなければ相手の顔も、私に向けられる馬鹿にするような笑顔も見えなかったのに   耳が聞こえなければ、わざと大声で言う悪口も聞こえなかったのに   口が聞けなければ、人を傷つけることもなかったのに―     友達が離れていったのは誰のせいでもなく自分。 自分が何気に口に出してたことが相手を傷つけるなんて考えられなかった。そんな幼い私の心   自分だけが被害者面して毎日辛かったと思いこんでいた。友達にも嫌な思いをさせたと最後に本人から聞いた。   空気が読めない人だった。というより浮かれてた。中学でたくさん友達ができたことに
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