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ここへ来て初めての春。
あの人に腕を認められたのが、随分前の様に感じる。
だが、今でも鮮明に思い出せるあの言葉。
「大した腕前だ。私の所でその剣さばき、振るってはくれないか」
大柄で長身のくせ、体には合わないおおらかさを持ち合わせた男。
師を無くし、荒れ果てていた自分を救ってくれた。
あの言葉は一生忘れられない。
桜は、桃色から若緑へと衣替えが終わった様だ。
ふと、永倉は目を覚ました。
「永倉君、起きたかい」
目の前にいたのは、夢の中の人、近藤勇。
永倉は知らぬ間に眠っていたようだ。
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