残酷な運命

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「はぁ~」 「奏様。どうかされましたか?」 美香は私に気を遣ってくれる。 私を大事にしてくれて。 だから私を傷付けた咲が許せないと。 「ううん。何でもない」 美香は気が強い方ではない。 これが彩と美香の違い。 体育館を背に向けて歩き出す。 「アハハ 今はテスト週間ですから、あの子を見つける人なんていませんね」 彩は倉庫の鍵を指でクルクル回しながら笑っていた。 午後に体育があったとしても、今の時期は外種目。 テスト週間で部活もないから、体育館なんかに用がある人なんてそうそういない。 私達が行かなきゃ出られない。 そして放課後には私達3人、鍵を持って体育館へ向かっている。 気が向いたからとか、咲に謝るためとか、そんなんじゃない。 苛めの続きをするために。
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