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「明美さんは奈緒美さんを見つけられたのかな……」
天井を見上げ、蜘蛛を警戒しながら友永は呟いていた。
丁度エレベーターの前辺りまで来たところで102号室から戻って来た明美と合流した。
「友永君?」
「明美さん、部屋には居なかったみたいですね」
「えぇ、そっちは?」
「それが……冷蔵庫の向こう側には行けなかった」
「行けなかった?」
「何かがいた……奈緒美さんではない何かが……」
友永がそう言いながらエレベーターの扉にもたれかかろうとした時、スーッと扉が開いた。
寄り掛かる筈のものがなくなり、バランスを崩した友永はよたつきながらエレベーターの枠にしがみついた。
体制を整えた友永はエレベーター内を見つめて呟いた。
「……あんた……誰だ?」
友永が見たものは……一人の男がエレベーター内に立ち尽くしていた。
足元には幼い女の子が力無く座り込み、うなだれている。
立ち尽くしている男はその子の髪を握り締めていた。
「友永君、逃げて!!」
明美は叫び、友永の手を握って走り出した。
『なんや……失礼やなぁ……逃げるなよ』
ゆっくりと男はエレベーターから出てくると、明美達が走り去った方へと歩き出した。
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