九月二十一日 10 覚醒

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部屋に籠ってどのくらいたっただろうか? 友永は時計に目をやると、時刻はすでに22時をまわったところだった。 「まだ…夜は長いな」 そう呟くと友永は立ち上がり明美に視線を落とした。 「明美さん、外に出れないのなら風呂をトイレとして使って良いかな?」 「え……えぇ」 明美はうつむいたまま頷いた。 友永が風呂の扉に手を伸しドアノブを握った時、カタっと扉の向こうから物音がした。 「……明美さん」 明美にも聞こえていたらしく、明美の顔にも緊張が走る。 友永は一歩後退り 「だ……誰だ?」 扉に向かい声を掛けたが返答はない。 友永は明美に視線を移し頷くと明美もそれに答える様に頷いた。 友永は心臓の音がやけに耳に纏わりつく感覚の中、風呂の扉を開放った。 「奈緒美さん!?」
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