五月三日

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病院を出てから既に3時間が過ぎようとしていた。辺りは徐々に暗くなり始めていた。 山道を走る車の窓から木の合間に洋館が見えてきた。 「あれが目的地だよ」 省吾の言葉に皆が視線を向ける 「スッゴい建物だね」 「明美ナイスリアクションだなぁ」 「うるさいなぁ徹はぁ。だってあんな洋館初めてみたもん」 「到着」 省吾の到着の言葉と同時に車を下り玄関へと向かった。 玄関を開け中に入る義人たちが目にしたものは玄関正面にある大理石の机とその上の何通かの封筒、そして書き置きが一枚。 「皆様一通づつお取り下さい。開封したものは交換を認めません。…か」 義人が書き置きを読み上げる。 「全部で12通あるな」 徹がおもむろに一通を選び開封した。 「中身は…カードキーが2枚と…手紙か?」 「なんて書いてあるんだ?」 「えと…どちらか一室を選んで下さい。どちらか一室を開錠した時点でもう一室のカードキーは無効になりますだってよ」
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