第一部~開戦~         大阪評定

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「秀頼様、景勝は会津にて武具を集め浪人を大量に登用しております。」 大阪城での評定の席で一人の男が言い放った。年齢は五十は超えていようか、恰幅が良く年寄とは思えない気迫がある。この男が五大老筆頭徳川家康である。 「これは秀頼様に対する謀反を企てているに違いありません。私に景勝討伐の命を、必ず討伐してみせます。」 秀頼の横に居た女性が代わりに答えた。 「家康よ、確かに上杉は浪人を登用しているようだが本当に謀反を企てておるのか?」 この女性は秀頼の母親の淀君である。 「なにをのんびりとしたことを言っておられるのですか、景勝に再三大阪に出仕せよとの書状を送っているのに一向にまともな返事もよこさず出仕する気配すらありません。これは秀頼君(ぎみ)の命に背く行為、ここにきてさらに軍備の増強、これを謀反と言わずなんと言うのです。」家康は凄んだ口調で淀君に言った。
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