第1章・シバチュウメモリーズ

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そうあれは13年前、司馬懿が14になった年だった 司馬家と言えば知らぬは潜りと言われる程の名門中の名門 父、司馬防は厳格な性格で息子達にも不正や怠慢を一切許さなかった その徹底した教育方針により8人の息子は若年ながら『司馬八達』と言われる程の奇才に成長し、司馬家も安泰……のはずだった・・・ ある日、父は息子達を集めてこう言いました 司馬防「荷物を纏めなさい。」 司馬懿「遠征でございますか?」 司馬朗「私達も共に…?」 キョトンとする息子達を前に、父は難しい顔をしてこう続けた 司馬防「今の世は勉学だけでは生きて行けぬ。諸葛玄の所の亮は仲達と同年だというのに自分の稼ぎだけで暮らしているらしい。それに比べお前達はいつまでも親に甘え過ぎている。お前達だけでやって行ける所を世間に見せしめるのが目的だ。」 司馬朗Σ「父上は私達に司馬家から出ていけとおっしゃるのですか!?」 息子達は困惑した表情で父の返事を待った 司馬防「伯達、仲達、二人が弟達の親変わりになりなさい。5年でいい。ただし5年間は司馬の門を潜る事は許さん!出発は明日だ!」 司馬朗「父上……それは…どんなお戯れですか?年少の幼達はまだ3つになったばかりにございます。どうか……」 司馬防「伯達、私が戯れた事などあるか?」 司馬朗「・・・」 鬼をも黙らせる説得力のある言葉に息子達は納得せざるを得ず、次の日の朝、8人の息子はその身一つで司馬家から旅立った 司馬懿「兄上、しばらく歩きましたが行く宛てがあるのですか?」 司馬朗「急な事でまだ何も考えていない…何か案はあるか?」 司馬懿「いえ…」 三人集まれば文殊の知恵と言うが、こうも急な事では秀才が8人集まってもどうしようもなかった 司馬敏「あにうえ…幼達あるきつかれました…」 司馬懿「背に乗りなさい。少し休むといい。」 司馬懿は幼達を背負うと深い溜息をついた 司馬懿「はぁ…(この先どうすれば良いものか…今晩はどこで寝る?その前に食料をどうにかせねば…)」 司馬敏「ちゅうあにうえ…?」 司馬懿「どうした?」 司馬敏「あと1827日たてばおうちにかえれます!気をおとさないでくださいっ!」 司馬懿「そうだな…(この教育方針は本当に正しいのだろうか…?)」 3才児とは思えぬ発言に司馬朗と司馬懿は教育方針の変更を決意した
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