第1章・シバチュウメモリーズ

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司馬懿「すみません…弟達だけでも構いませんので食料を恵んで頂けないでしょうか?」 声をかけられた婦人は動きを止め、一人一人の兄弟の顔を覗き込んだ… おばさん「見たところ良家の坊ちゃんって感じだけど…あんた達家は無いのかい?」 司馬懿「深くは話せないんですが昨日追い出されてしまいまして…」 おばさんは俯く司馬懿の肩を叩くと大声で笑った おばさん「アハハハハ!そこまでの事情は聞かないよ!あんたも小さい子連れて大変だねぇ!食べな食べな!」 そう言うとおばさんは8人分の食事を用意してくれた 司馬敏「兄上おなかいたいんですか…?」 司馬懿「いや…なんでもない。零さず食べなさい…」 自分より遥かにみすぼらしい服装の人が司馬の名を聞いた訳でもなく… 善意を向けても何の見返りもない事も分かっていて… それでも自分達を気にしてくれる… その全てが嬉しかった・・・ おばさん「ちょっとあんた達!」 食事が終わった頃、再び声をかけられた 司馬朗「はい…」 おばさん「行く所無いんだろ?生憎宿泊施設は満員らしくてね…ちょっと不便かもしれんけどテントを貸してくれるらしいから貰っといで!」 司馬朗「そんな…そこまでお世話になる訳には…」 おばさん「けど宛ては無いんだろ?」 司馬朗「・・・・」 おばさん「子供は大人の言う事聞いてればいいんだよ!おばちゃんの家小さいけど銭湯やってんだ!夜になったら入りにおいで!」 そう言い残しておばさんは去った その後兄弟は3時間かかってテントを組み立てた 司馬進「狭いです…家のトイレぐらいしかありません…」 司馬朗「文句を言ってはいけません。さぁもう勉強の時間ですよ?」 司馬敏「おはなしてください!」 司馬懿「幼達は本当に本が好きだな…何が聞きたい?」 司馬敏「『翔ぶが如く』がききたいです!」 司馬通「私は『前髪の惣三郎』が聞きたいです!」 司馬懿「………(なぜそこまで遼太郎?)『前髪の惣三郎』はまだ二人には早過ぎます。『翔ぶが如く』にしましょう。」 司馬敏「『どうせいあい』…ってやつですよね?幼達もうぜんぶあんきしました!」 司馬懿「・・・(父上……やはりあなたの教育は間違っております…)」
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