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それから何週間かはテントで生活をした
暮らしてみて解った事は、今まで自分が恵まれていたと言う事…。
欲しいものは何でも手に入り、身の回りの事は全て家政婦がやってくれた。
父の言う通りだ…
私は常に他人に甘えている…。
一刻も早くこのテント暮らしから逃れる為、私は弟達を兄に預け仕事を始めた。
しかしこれを負の連鎖と言うのだろうか…?
住所も無い、司馬の名を名乗る事も出来ない、ひきこもりの生活を続けていた私には人脈も無ければ顔も広くない。その上体力はゼロに等しい。
そんな私を雇う所などあるはずもなく、民家のドアを叩いては子供に本を読んだり文字を教えたり…
だがそんな中でも子供達の笑う顔を見るのが好きだった。
客「いつもすまないねぇ…うちの子ったら文字が書けるようになったって大喜びでさぁ!これ少ないけど今日の分だよ!」
司馬懿「ありがとうございます…。」
元々文学に長けていた司馬懿は教える事も得意だった
人づてに話は広がり、固定客も増え暮らしも少しは楽になった
夜になればおばさんの家のお風呂を借り、御礼にみんなで家の手伝いをした
慣れない事ばかりで食器を割ってしまったり白い服を黒く染めてしまったり…
それでもおばさんはいつも笑って許してくれた
司馬敏「幼達きょうはおばさまとねむりたいです…」
おばさん「おぉっ?おばちゃんと一緒に寝てくれるのかい?」
司馬朗「我が儘を言ってはいけません!さぁテントに戻りましょう!」
司馬敏「……はぃ…」
まだ幼い弟はおばさんと母親を重ねているのだろう
司馬懿「父上も酷な事をなさる…なにも雅達や幼達まで…」
司馬朗「考えがあるのだろう…今は堪える他無い。」
いつまでこの生活は続くのだろうか…?
焦る気持ちだけが空回りしていた・・・
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